Q&A

Q&A

Q.生命化学・工学専修ではバイオサイエンスをやっているということですけれども、理学部や工学部、薬学部でやっていることとどのように違うのですか?

確かにわかりにくいですよね。なぜなら生命化学・工学専修と同様、薬学や工学でも、研究面では基礎と応用の両面があるからです。しかし、明治初期に誕生した生命化学・工学専修の母体となる研究分野(農芸化学)の成り立ちをみてみると、昔は研究面での主な出口が“食料”だったのです。それに対して、薬学は薬、工学は技術開発です。また、理学は今も昔も普遍的真理のみを探究する場です。ところが、今ではこうした境界線がなくなりつつあり、生命化学・工学専修でも、創薬的研究、理学さながらの基礎研究、さらには医学に近い健康や病気の解明に貢献できる研究が行われています。生命化学・工学専修では、生命・食・環境のほとんどをカバーしていると言ってもいいでしょう。他学部における研究と重複することもありますが、バイオサイエンスにおいてここまで幅広い生命現象を探究できるのは生命化学・工学専修だけなのです。

Q.この専修に向いているのはどんな人ですか?

当専修では「食・環境・生命」に関連した題材を幅広く研究対象にしています。したがって、進路が決まっていない学生さんでも、進学してから時間をかけて自分に一番フィットする研究テーマを探すことができます。多様性があり柔軟性があると言えるでしょう。そういう意味では、まだ何をやりたいのか分かっていない学生さんは特に向いているかもしれません。また、座学よりも手を動かして自分で何かを発見したい人は向いているかもしれません。研究の本当の面白さは、実際に研究室で研究を経験してみないと分からないものです。研究室では、自分で選んだ研究テーマ(プロジェクト)について自らの力で解決していく、そのような「プロジェクト実行力」を、研究活動を通して身につけることができます。

Q.現在理科一類に所属しており、高校時代も生物は選択しなかったのですが、進学後の授業の理解において、理科二類の生命科学等の授業を受けていないことによって不利なことはありますか。また例年、理科一類生は学年に何人程度所属していますか?

不利なことなど全くありません。実際、進学者には、大学入試で化学と物理を選択した学生も多くいます。2020年度は、内定者70名中、理二57名、理一12名、文三1名、2021年度は、内定者79名中、理二68名、理一11名でした。生物学分野の学習や研究には化学と物理の知識が必要です。生命科学系の講義は、2年のAセメスターから頑張って勉強すれば大丈夫です。

Q.就職先の例を知りたいです。
大学院まで進んだ際の就職先について具体例とともにお話しいただけたらうれしいです。

誰もが知っている大企業のほとんどに卒業生を輩出しています。就職先については、このHPにも詳しく掲載していますので、そちらを参照してください。

Q.学生実験などの実習は好きなものを選べるのですか?

学生実験は全員共通(必須)で、選ぶことはできません。PC実習、分析実験、有機合成実験、植物実験、動物実験、微生物実験、酵素実験が主な実験内容で、4名ずつの班で実習を行います。微生物実験では、日本酒の発酵実験と官能試験もあります。すべての研究室がそれぞれの実験を担当するので、各研究室の教員やティーチングアシスタントの学生さんと知り合う機会にもなります。

Q.SPタームの実習では具体的に何を行いますか?

学生実験の他に、農場実習と工場見学があります。いずれも丸1日ずつ。
農場実習:西東京フィールド(東京田無市)で、年によって、また天候によって異なりますが、田や畑の土壌の性質を調べたり、果物の濃度を測定して選別したり、トラクターに乗ったりします。
工場見学:最近では、味の素、花王、キッコーマン、協和発酵キリン、サッポロビールなどの工場から一社を見学します。

Q.研究室とはどのような構成になっているのでしょうか?

研究室は、教員のほか、大学院生(博士課程、修士課程)、4年生で構成されます。これに加えて、大学院博士課程を修了した後の博士研究員が複数人いることも多々あります。また、秘書や企業などからの研究員がいることもあります。
皆さんがクラブ活動などで知るよりも、はるかに多様なバックグラウンドを持つ人たちによって構成される社会です。このため、卒論配属当初は精神的に疲れることもあるかもしれません。でも、きっと数週間もすれば、居心地のいい場所に変わることでしょう。

Q.研究室はどのタイミングで決めますか? 成績も関係ありますか?

研究室の決め方は、農学部に進学が決まった直後に学生たちで話し合って選択します。教員側からは、3年生の1月に各研究室の定員数(〜4名)だけが開示され、3年生の3月初旬、成績の発表後に、学生たちが配属研究室を決めます。各年度で異なっていますが、ここ数年では成績も考慮して決定しています。

Q.はっきり進路が決められなかったので、進学選択では幅広いバイオサイエンスをやっている生命化学・工学専修を選びました。卒論の研究室はどのように決めたらよいでしょうか?

本専修に進学する時点で将来の進路がはっきりと決まっていないとしても無理はありません。卒論研究を始めてみないことには、研究を中心に据えた自分の将来が見えないのは当然です。したがって、卒論でどの研究室に行くかは、研究者としての第一歩を刻む上で重要なこととなります。
3年生の学生実験の際に、自分の興味のある分野の教員やTA(ティーチングアシスタント、大学院生が担当)に話しかけて、自主的に情報収集することが大切です。そして、 「こういうことをやりたい」 という積極的な動機を見つけるようにしてください。

Q.卒論のテーマ選択はどのようにして行われるのでしょうか?

全研究室の卒論テーマをまとめたリストが、3年生の1月に配布されます。また、日程を決めて行われる研究室訪問に参加するか、個別に連絡をとって各研究室を訪問し、それらのテーマに関して教員から直接説明を聞く機会もあります。皆さんは、これを最終的な判断基準として研究室を選ぶことになりますし、卒論のテーマはそれらの中から選択することになります。
ですが、指導教員とよく相談することで、対応可能な範囲内でのテーマの変更はあり得ます。また、各研究室ともに世界中の研究者と競争をしているわけで、事態は刻一刻と変化します。したがって、4月に研究室に入ってみたら、卒論テーマとして別のものが提示されることもないとはいえません。
どんなテーマになったにせよ途中で投げ出さずにじっくり取り組み、自分の力で発展させるような意気込みで取り組む姿勢が大事です。

Q.3年生の学生実験をしただけで卒論の実験がちゃんとできるのか不安です。

本専修では「実験科学」を実践するので、卒論研究でも実験が最も重要になります。
しかし、それほどの心配はいりません。卒論研究でも最新の設備や技法を使う場面が多いのですが、そんなものを最初から使いこなせる人などいるはずがありません。今は偉そうな顔をしている教員も、卒論配属当時は失敗することもあり先輩に怒られていたこともあったのです。最初のうちは教員や先輩に実験方法や考え方を教わりながら研究を進めていくことになります。時間が経つに従い、自分一人で実験できるようになっていくものです。

Q.私は将来できれば研究者になりたいのですが、なれるかどうか自信がありません。

最初から自信をもって研究者への道を選んだ人などほとんどいません。要は「やる気」の問題です。
各研究室では毎週セミナーが行われ、そこでは研究成果の発表や参考文献の講読が行われています。まだよちよち歩きの卒論学生にとっては、はじめのうちはほとんど理解不可能かもしれません。教員や先輩が議論している内容を一日も早く理解しようと努力することで、一人前の研究者に育っていくのです。

Q.学会に参加するようになるのはいつ頃からでしょうか?

努力が実って卒論研究である程度まとまった成果が出た場合には、卒論学生であっても学会での発表の機会が与えられます。この場合は、発表に向けてパワーポイントやポスターを準備したり発表の練習をしたりと励むことになります。学会では関連する研究に関して多数の発表が行われます。学会に参加して、研究成果の発表や質疑応答を行ったり様々な研究に触れたりすることは、自分の研究を見つめなおして発展させる良い機会となります。

Q.卒業後の進路はいつごろまでに決定したらよいでしょうか?

大学卒業とともに就職することを決めている場合には、その意思は3年生のうちに決めておくと良いでしょう。
今は、本専修の学生のほぼすべてが大学院修士課程へ進学しています。皆さんも、潜在的には大学院進学を考えていることでしょう。その場合には、大学院の入学試験がありますので、対応が必要です。大学院の入学試験は、8月に行われます。どこの研究室に配属されても、一ヶ月くらいの試験勉強期間(夏休み)を与えられますが、試験を甘く見てはいけません。希望した研究室に行けないどころか、浪人(院浪)してしまうケースもままあります。常日頃からしっかり勉強するようにしてください。

Q.大学院へ進学したいのですが、経済的理由でためらっています。
アルバイトなどは可能でしょうか?また、奨学金制度はどのようになっていますか?

大学院においても実験に支障のでない形でアルバイトを行うことは充分に可能です。
日本学生支援機構の奨学金を受給することができる場合もあります。その場合、修士論文や博士論文の成績等に応じて、返還を免除される可能性もあります。また、様々な財団、企業からの奨学金を受けられるかもしれません。
大学院生にとって最も重要なのが、日本学術振興会特別研究員を目指すことです。これに採用された博士課程の大学院生は、給与とともに研究費も獲得することができ、研究を大いにすすめることができます。

Q.講義と実験以外で、どんな行事があるのですか?

3年生、4年生が主催する最大の行事は、やはり五月祭です。
数十年続いて、3年生はビール園を、4年生は利き酒をやっています。私たち教員の多くもやりました。私たちの時代は農芸化学科だったので、「農芸化学」をアピールしようとすると、分かり易さから日本酒になったのでした。本専修になってからの学生も、この催しの継承に意義を感じているようです。毎年訪れてくれる「常連客」もいて、長蛇の列ができるほど盛況です。
何をやるにしろ80人近くの同級生が皆で力を合わせて何かをやるいい機会です。積極的に参加するといいでしょう。
4年生で研究室の一員となってからの話になりますが、本専修でもう一つ忘れてはならないのがソフトボールです。毎年春と秋に研究室対抗の大会が開催されます。
たかがソフトボールといってバカにしないでください! 多くの研究室が、名誉をかけて火花を散らします。なので、4年生になった最初の仕事がソフトボールの大特訓だという研究室も(実は結構)あるようです。