学部・専修

先輩からのメッセージ

「農2に入ると…」

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学部3年生
平松 秀基

 

私がこの農2に進学しようと思ったのは、この専修が他学部、また他専修に比べて非常に研究分野に富んでいたからでした。去年までは 33個あった研究室が今年 35個になり、依然増え続ける研究分野は宛ら生き物のようです。
そんな農2に目出度く進学した場合、皆さんは午前に授業、午後は実験という生活が待ち構えています。夢の 25コマという完全武装の中、皆さんは毎日予習 ・復習に明け暮れるのかと推察されるかもしれません。しかし、現実は程良いものです。授業は詰込み式というより、論理の流れを重視したものが多いですし、駒場と違い、学生実験は大体5時には終わって、部活動やアルバイトに差し障ることは稀です。

一方で、農2の実験は凡そ一ヶ月を一つのテーマで行います。日々の予習もそこそこに、「今日の実験が全体でどんな意味を持つのか?」と思索することこそが肝要となってきます。例えば、酵素学実験では「アルカリフォスファターゼの機構を調べる」という大きなテーマの下、大腸菌から酵素を分離 ・精製した後、作用機構を観察し、最終的にはパソコンで立体構造を考察するに至ります。この過程では、度重なる遠心操作や、一回5分の反応を 200回という作業が行われますが、一つ一つの操作に囚われて実験全体の流れを把握していないと、後の実験レポートで蓋し痛い目に遭うことでしょう。

さて、授業や実験以外では何をしているのか。農2の同級生の数は 80人近く。これだけの人間が集まるため、周りでは「日本酒を飲み比べる会」やら「モルセルを輪読する会」等が結成され、皆が余っている時間を自由に使っています。そう、農2に入ったからと言って皆さんの人生が完全に規定される訳ではありません。進路だって三年冬の研究室選び、四年夏の大学院入試など、学部に入ってから少しずつ勉強しながら、自分自身で決めて行くことができます。私は農2での経験を尊いものだと感じています。この経験を皆さんと共有できる日を待っています。

「農2に進学して」

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学部3年生
杉本 南

 

私が生命化学工学(農2)に進学した理由は、「食」という分野から人々の健康に貢献できるような研究がしたいと思ったからです。薬学部への進学も迷っていましたが 、1年の冬に農学部の研究室をいくつか訪問して先生にお話を伺い、「薬は医療費がかかってしまうが、食品機能を利用すれば医療費の増大を抑制して生活習慣病を予防できる。」という言葉がとても印象に残り、進学を決めました。4学期の授業はオムニバス形式も多く、いろいろな講義を聴くことができます。私の場合、それまであまり興味がなかった、畜産や環境の分野には講義の内容はとても新鮮で、視野を広げるには大いに役立ちました。

3年生になると学生実験が始まります。駒場の学生実験と違い、一つのテーマについて約 1ヵ月間取り組み、レポートを書くときには文献を調べたり、友人と議論したりして考察を深めることができます。酵素実験ではアルカリフォスファターゼという酵素について実験したり、コンピューターを使ったりしていろんな角度から追っていくのが面白かったです。

週4日午後がすべて実験なんて大変そう、と思うかもしれませんが、実習はたいてい5時、早ければ3時半に終わります。実験班の連携次第、かもしれません。実験後にはバイトやサークルに行くなど、みんな様々です。私は陸上部に所属しているので、部活のある日は実験後駒場にいって練習し、そうでない日も学校周りで練習して6限の講義を聴講に行く、なんてこともしてます。自由度が大きいのも農2の良い点です。

学科が 80人近くいて、いろんなタイプの人がいることもまた面白いです。なにせアクティブな人が多いので、仲良く農2生活を送っています。日本酒に詳しい人がレアな日本酒を集め、さらに料理の得意な人が腕をふるい、日本酒テイスティング会を開いたりもしました。試験だって協力して乗り切ります (笑)。

農2に興味を持っていただけたなら、尻込みせずに先生や先輩方に会ってお話を聞いてみてください。進路を決める上での助けになるはずです。皆さんが農2に進学してくださるのをお待ちしております!

生命化学・工学専修について

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学部4年生(生物機能開発化学研究室)
鈴川 縁

 

進振りを控えた皆さんに端的に本専修の魅力を伝えようとする時、私は第一に1学年約 80人で 30を超える研究室という規模でありながら、全体として風通しがよいことを挙げます。

本専修の内部にいる人々は多種多様です。研究内容も多岐にわたってレベルが高く、同期の研究テーマでさえ理解しがたい時があります。しかし、学生間の仲は良く、学生と教員との距離も近いです。それは、年に2度のソフトボール大会や、数多く開催される飲み会があるからだと思います。ソフトボールの学生選抜チームと教員選抜チームで間違いなく教員が強いと言われるこの専修では、教員から直々の投球練習、ノックを受ける学生も少なくありません。試合は白熱します。そして試合後には飲み会が開催されます。とにかく楽しむ部屋も、ゲッツーに倒れた先生を詰る部屋もあり、お酒やソフトボールが苦手な人でも私の研究室では楽しそうに飲み会に参加しています。

先輩からの受け売りではありますが、上下に風通しが良いからこそ、尊敬でき目標とする人を見つけやすく、また実験だけではなく研究室内外での意見交換、雑談、その他様々な人間関係を自らが納得して楽しめる。これを充実した研究生活というのでは
ないかと思うのです。

私自身は現代の社会に食の立場から貢献できる研究がしたいと思い、理科二類から生命化学・工学専修に進学し、生物機能開発化学研究室に進みました。

「研究者はアーティストだ!かっこいい!」「食の研究に携わるのならおいしいものを知っておけ」とおっしゃる先生の元、おいしいものの大好きな研究室メンバーと一緒に「おいしい」とは何かを日々考えています。

研究室生活は文字通り朝から晩まで忙しいながらも、尊敬できる先生方、先輩方に出会えたことを幸せに思います。

熱く教育熱心な先生方と先輩方に囲まれて過ごす学生生活は、私にとって充実したものです。それはこれからいらっしゃる方々にも当てはまることだと思います。このガイダンスブックを読んでくださっている皆さんとお会い出来る日を楽しみにしています。

農2へようこそ!

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学部4年生(細胞機能工学研究室)
秋山 渚

 

こんにちは!皆さん進路はもうお決まりでしょうか?

私は駒場時代からなんとなく生命科学に興味を持っていましたがその中で専門を絞れず、とにかく幅広い内容を学べるこの専修を選びました。

配属されてから3年生までの一年半は、分子生物学、生化学、有機化学などの基礎科目に加え、土壌学、植物生理・栄養学、食品化学、微生物学など農2ならではの学問分野を、授業や学生実験を通して学んでいきます。現代のバイオテクノロジーが扱う様々な領域に触れることができますから、きっとこの中から自分の興味を見極めることができると思います。

3年生までは学生実験はあるにせよ比較的自由で、大学生活を満喫するもよし、自分の興味に従って好きなことを勉強するもよし、また部活動を続けている人も多いです。4年生で研究室配属されてからは真剣に研究に打ち込むようになり、メリハリのある学生生活を送れるのではないでしょうか。

農2は同期 80人という大所帯ですが、五月祭のビール園、利き酒などのイベントや学生実験を交流の場として、全体的に和やかでとても仲の良い専修です。お酒が好きでお祭り騒ぎが大好きな人が多い印象で、女性も3~4分の1ほどと多く華やかな雰囲気です。80人もいますから各人の興味も様々で、これまで出会ったことのないような人と必ず知り合えるのも農2の良いところだと思います。研究室配属後も、同じ分野で頑張る同期の姿に励まされ、刺激を受けています。

真面目な話ばかりになってしまいましたが、農2に興味を持った方はぜひ一度話を聞きにきてみてください!少し飲み会に顔を出してみれば農2の雰囲気の良さを感じてもらえると思います。それでは皆さんの進学をお待ちしております!

卒業生

未知なる方へ

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平成 23年度 修士課程修了/住友化学株式会社 健康・農業関連事業研究所
彦坂 政志

 

今このガイダンスブックを見ている方がどのような印象をお持ちかは存じ上げませんが、私が進学先を決めたとき、この専修に感じていた印象は大体次のようなものです。

“バイオテクノロジーとかなんか今っぽい”“遺伝子組み換えとかやってみたい”“就職はしづらそうだけど酒・食品会社にはウケが良さそう”……そんな思いをもって入った私は遺伝子とは関係ない低分子化合物のテーマで修論を書いて卒業し、今風とはとても言い難い老舗の化学会社に就職しました。第一印象なんて当てにならないものですね、思い返してつくづくそう思います。

しかし、想像と現実というのは実に重ならないものです。私は今、農薬の研究所で化合物の除草剤活性を評価する作業を担当しています。これは基本的には誰かが作った化合物を植物にかけて効き目を見るというだけの仕事ですので、内定した時には毎日毎日植物に薬剤をかけて観察するだけのルーチンワークだと思っていました。その上に会議とかいっぱいあって面倒くさいな…でも金もらえるからしょうがないか、と。

結果から言うと的外れもいいとこでした。まず仕事中ルーチン的な実験はごく一部で、自分で考えて計画する実験が圧倒的に多いです。どの化合物を比較すれば特徴が見えるか考えて特別試験をしたり、どんな機構で効くのか調べるために様々な分析をしたりします。また、会議は研究室の頃より減って週1を割り込むほどです。(たまに大きな会議が別にありますが。)あとお金については多くは語りませんが、甘い考えは捨てましょう(笑)。でも、仕事は面白いし立場は安定しているし、何より周りに尊敬できる人が多いので、私的にはこの仕事にして良かったと思っています。

皆さんも専修を決めて新しい道を歩き始めると、様々な局面で『なんじゃこりゃあ』という想定外にぶつかると思います。勿論ショックだと思いますが、出来ればそれを存分に楽しんでください。特に本専修は“面白くて役立つ”モノを追い求めるテーマが無尽蔵にあり、合成から分析、遺伝学、果ては ITまで節操無く広がっています。思っていたのと違う研究にのめり込んでしまうかもしれませんし、気付いたらバイオベンチャー 一歩手前みたいな研究をしているかもしれません。しかし、その未知を楽しむことが出来れば、そこは楽園です。

最後だけハッキリ言います。お勧めです。

振り返って思うこと

平成 21年度 修士課程修了/キッコーマン株式会社 応用研究開発部
荒木 康子

 

私は理科二類から生命化学・工学専修に進学、4年生から修士課程修了までの3年間は微生物学研究室にて麹菌の研究を行っていました。卒業後は、現在の会社に就職し、酵素の研究に従事しています。

学生時代、「バイオ系の研究がしたい」という単純な理由で本専攻に進みましたが、毎日研究に没頭し、充実した日々を送ることができました。それは、本専攻には研究に没頭できる素晴らしい環境があったからだと思います。

まず、本専攻では授業と学生実験を通して、しっかりと基礎を身に付けることができます。それはどの分野に進むにも必要なことであり、実際、現在の職場の研究でも役立っています。また、幅広い分野を扱っているため、様々な知識や技術を学ぶことができます。

次に、本専攻の研究室では、最先端の研究に従事しています。そしてこれは外部から客観的に見るようになり気付いたことですが、各研究室の一つ一つの研究のレベルが非常に高いです。現在、企業にて研究をする際にも本専攻の先生方にアドバイスを頂くことがあり、会社に入っても本専攻の先生方の名前を耳にする機会が多いことに驚きました。また、研究室同士のつながりも大きく、専門以外の知識や技術を必要とする際も、すぐに専門の研究室に相談できます。私も論文作成の際には何度も助けられました。

このような充実した環境だからこそ、研究が好きになり没頭することができました。入学当初はやりたいことのなかった私ですが、就職は迷わず研究職を希望しました。研究室選択は大いに悩まれることと思います。私なりのアドバイスになりますが、上述したように、本専攻では研究の基礎、幅広い分野を学ぶことができるとともに、最先端の研究に従事することができます。ここで得た知識や経験は将来必ず活きると思います。ある分野を選んだからといって、将来自分の進む道が固定されるわけで
はありません。是非楽しい選択と考え、何でも良いのできっかけを探して選んで頂ければと思います。

多様性の中の専門性

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平成14 年度 博士課程修了/京都大学白眉センター 特定准教授
今村 博臣

 

私は平成7年度に、理科一類から当時はまだ農芸化学科と呼ばれていた生命化学・生命工学専修に進学しました。

学部4年生では生物制御化学研究室に所属して、微量植物ホルモンの高感度測定法の開発を、大学院進学後は博士課程修了まで酵素学研究室に所属して、主として X線結晶構造解析によるタンパク質立体構造の研究を進めました。博士過程修了後は、東京工業大学、続いて大阪大学に移り、研究テーマもタンパク質分子モーターの1分子計測、蛍光タンパク質を使ったバイオセンサーの開発、と研究室の環境に合わせて徐々にシフトしてきました。

2年前からは京都大学で小さいながらも独立したグループを持っており、自分で開発したバイオセンサーを用いて、これまで解析できなかった生きた細胞の中での代謝物質(主にATP)の振る舞いを顕微鏡下で詳しく観察しています。新しい技術で生物が持っている未知の仕組みを明らかにしたいと奮闘する日々です。

現在の研究内容は研究を始めた学生時代には思いもよらなかった方向に進みましたが、私は遠回りしたとは思っていません。逆に、学生時代に日夜実験と議論で鍛えられた経験は自分の血肉となって、自分の芯となる専門性を形成しています。

一方で、生命化学・生命工学専修は、土壌学・有機化学から発酵学・免疫学に至るまで、非常に多様で幅広い研究が行なわれています。卒業するまで自覚していませんでしたが、このような多様な研究をおこなっている学科は他にはまず見当たりません。私が自らの研究テーマを変える事にそれほど抵抗が無かったのも、こうした多様な研究テーマが共存する環境で教育を受けたせいかもしれません。

よく言われている事ですが、現代は働き方や価値観が多様化し、またその変化は非常に激しいものがあります。
多様な価値観や環境の変化にも対応できる柔軟さをもつと同時に、自分の芯となる基本的な考え方や技術が必要であることは間違いありません。生命化学・生命工学専修は多様な研究環境の中で自らの専門性を鍛えるための優れた環境が備わっており、進学される皆さんに現代を生きる力を与えてくれるのではないでしょうか。

You’ll never know what is going to happen

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平成11年度 博士課程修了/大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任准教授
伊勢 渉

 

約 20年前、大学1年の秋のことだったと思う。親しい友人から「農芸化学科に興味があるんだけど、今度研究室訪問できる日があるから一緒に行かないか?」と誘われ、ある研究室を訪問したのが農芸化学科(当時)との出会いである。

実は友人の勘違いで、大学2年生を対象とした研究室訪問であったのだが、僕の持っていた農学部のイメージとはまるで異なり生命科学の非常に幅広い分野をカバーする学科であることを知ることができた。「これを研究(勉強)したい!」というものをまるで持ち合わせていなかった出来の悪い自分でもここでなら何かを見つけられるかも、という淡い期待を抱いて進学した。

3年時の食品免疫学の授業に興味を持ち、研究室配属の際には熾烈なじゃんけんを勝ち抜き第一希望の研究室に入ることができた。その後は周囲の予想に反して大学院博士課程まで進学してしまい、アメリカでの研究生活を経て、現在も学部3年生の時に興味を持った免疫学の謎解きに挑んでいる。

不真面目で成績も良くなかった自分が現在研究者として生きているのは何とも不思議である。今にして思えば学部生時代に「研究というのは楽ではないけど楽しいし、かっこいいかも」と思った(勘違いした?)のが決定的だったかもしれない。

講義はもちろんのこと、お酒を片手に色々なことを語ってくださった教授の先生達からは彼らの研究哲学や誇りを感じて、研究をすることへの憧れが自然と生じていった気がする。実際に研究をするうえでは、弥生キャンパス特有(?)のおおらかな雰囲気の中で、多少時間がかかっても自分の頭でしっかり考えて自分なりの答えを出すことの大事さを教えてもらった。

もっと効率よく研究を進める方法はいくらでもあったと思うのだが、じっくりと試行錯誤させてもらえたのは幸運だったし、そういう場がこの専修・専攻にはあると思う。

単なる思い出話になってしまったが、後輩の皆さんには授業、実験、そして名物のソフトボール大会、飲み会と、是非どっぷり生命化学・工学専修での生活に浸かってみて欲しい。

予想もしない何かを見つけることができるかもしれません。

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